ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
問いかけると、「違う」とアヤは言葉を代弁した。
「なにが”違う”だよ。アンタは人を殺して、自分が処刑されて、それで満足かもしれない。アンタが死んで、この廃墟場所は死にたくなる人が後を絶たないと言われているんだ。よかったな、たくさん殺せて」
殺人鬼は大きく息を吐いたような、少しだけ力がぬけたような気がした。
アヤの声ではなく、
「違う、違う、違う、違う」
頭の中に直接入り込んでくるような、そんな感覚に再び陥った。その時、コイツが直接声を伝えてきたんだということが分かった。
殺人鬼の元死刑囚。
「本当に殺したかったわけではない」
「殺したくないなら殺さないだろ。反省してるんなら、ここに留まらずにさっさと成仏してくれ。おまえのせいでここは取り壊しもできない廃業場所になってんだからな」
50年前の殺傷事件を機に、その5年後、経営が立ち回らなくなり廃業となったそうだ。そこから、立ち壊しの為に作業員が入った後に数名自殺したことから、ここに入ると死にたくなる、と、いう噂が出回るようになったらしい。
「痛……ッ」
こいつの感情が流れ込んできているからだろうか、頭がまた、ズキンと酷く痛みだした。
「成仏はしたくない、生きたい。申し訳ないことをしたと、謝りたい」