ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
『一緒に行く』と言わない手前、やっぱりアヤを連れ出すのは無理なんだろう。
断るためにわざわざ電話をしてきたんだろうか。 だとしたらよかったのに。電話がきたから少し期待してしまった。
「や、やっぱオレ、軽めのにするわ」
『うん、それがいいと思う。簡単に済ませられるヤツにしなよ』
アヤの声は少しだけ明るさを取り戻した。そして続けてこう言った。
『あたし、そういうオカルト系無理だから』
アヤは昔から怖いもの、特に、幽霊や妖怪や視えないものは『やだ』と言って避けていた。ただ、それは昔のことで、今も嫌いだなんて思っていなかった。
いくら幼なじみといえど、無理に引っ張っていくことはできない。アヤには自己中なオレでも、さすがに度が超えすぎていることはできない。
「わかった。誘ってごめん」とだけ言い残し電話を切った。
アヤは巻き込めない。けれど、都市伝説を暴くことも諦められない。
一人で頑張ろうと、スマホを片手にググる。
バスで一時間走った先にある町に廃墟となっている病院があるらしく、立ち入ってはいけないらしい。
…………立ち入ってはいけない。なんで?