ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
仮にこの廃墟の病院に足を運んだとしても、都市伝説が『立ち入ってはいけない』なら、もし何かあったら研究どころじゃなくなる。
記事を読んでいくと、廃墟病院に行ったものは必ず死にたい念を抱いて帰ってくるらしい。
何言ってんだ、と、笑いそうになった。
たまたま廃墟の病院内に足を踏み入れたヤツが元々精神的弱くて、病院内が薄気味悪くて精神共に疲れたんだ。
自分で言うのもなんだが、オレは芯は強い方だと思う。それが仮に霊の仕業だとしても、オレは幽霊は視えない。
けれど、もしかすると写真には霊的な何かが映り込む可能性も無くはない。
さっそく、
「使ってないカメラ、自由研究の撮影で使うから借りてっていい?」
夜になり父さんに貸して、と、詰め寄ってみる。
使ってないとはいえ、カメラをコレクションとして趣味で集めている父からすると、いくら家族といえど自分の手元から離れるのはイヤなのだろう、眉間に皺を寄せて渋い顔をされた。
「絶対の絶対に壊すんじゃないぞ!」
「うん、絶対壊さない!」
カメラを無事で返すことを約束し、オレは今週の日曜日を使って向かうことにした。