ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
既に夏休みに突入していた為、アヤと顔を合わすことはなかった。そんな中、1回目の日曜日が到来。
今日は朝9時のバスに乗って都市伝説と噂される廃墟の病院へ向かう。
事前に使い方を教わっていた一眼レフカメラはきっちりと肩に掛ける。お小遣いもちゃっかり貰い、
「行ってきます」
と、挨拶をして玄関のドアを開けたが、よほどカメラが心配なのか最後の最後まで「カメラは失くすな! 壊すなよ!」と、念を押された。カメラに関しては、いわば父の半身といってもいいような気がする。
***
9時ちょうどのバスに乗り込み、馴染みの町を離れる。
バスには数えきれないほど乗っているが、今日に至ってはソワソワが止まらない。まるで初めてバスに乗ったような、そんな感覚に近い。
――今から行くところは自殺者も出ているかもしれない廃墟病院。
これが真実なら都市伝説ではなく、事件として扱うべきだ。少しだけ恐怖を感じブルッと身震いをした。