ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
親から聞いて知っていたらしい、オカルト嫌いなアヤは、この都市伝説を信じているようだ。
『大丈夫、オレは信じてないから』
『そういうことじゃない! やっぱりアタシも行く!』
あれだけ嫌いだ、と、頑なだったアヤ。
無理して来られて文句を言われても困るし、なにより、やる気に満ち溢れているのオレのテンションをガタ落ちさせないでほしい。
アヤには悪いが、今はこれが本音だ。
『来なくていいよ。すぐ帰るから』
こう返事をしたにも関わらず、『いや、行く!』と引かないアヤは、結局、オレが廃墟の最寄り駅に着いた1時間後に、Tシャツに短パン姿でバスから降りた。
顔がブスッと不貞腐れている。
アヤがこういう表情なのは来る前から予想していた。
……だから来なくて良いって言ったのに。
今から入るのは死にたくなる廃墟病院。あり得ないと信じているけど、何かあってからでは遅い。
「……ちょっとここでまってろよ。すぐ戻ってくるから」
そう諭すも、アヤはウンと言わない。