15歳差の愛してる.

｢葬式が終わったら真っ直ぐ家に帰ってくる事｣

冬休み中だから
久しぶり制服を着た私に
お母さんとお父さんは
言い放った

私以外はいつもの朝の光景

コーヒーを飲みながら新聞を読むお父さん。
買い物の準備をするお母さん


｢分かってるよ｣


こんな時まで両親は
残酷だった


いつの間にか葬式は終わっていた

―――ああ、帰らなくちゃな


事情を全て知る
私のおじいちゃんが近づいて来た

｢さくら、もうお前は帰りなさい後は私達に任せて｣

｢はい｣

こんな所に居ても仕方ないか

外に出ると
あまらの肌寒さにブルッと
身震いした

『故 楠井 わたる様』

やめてよ

見たくない物見ちゃった

ﾃﾞｶい木の板に
ﾃﾞｶく書いてあるから
目に入っちゃったじゃん

明日もｺｺに来るのか

嫌だな

目を開けるのを
北風に邪魔されながら
ﾊﾞｽ停を探す私に
1台の車が近づいて来た


私の前で止まった
白のﾜｺﾞﾝ車

―――誰?