15歳差の愛してる.
「俺も中学生から高校生にかけてかなり荒れてました
喧嘩ばっかで酒は飲んで煙草吸って高校生の時は停学なんてしょっちゅうで実は学校も辞めたんです。
でも、両親は事あるごとに俺を叱ってくれました。
俺は全然聞く耳持たなかったけどそれでも叱ってくれました
放っておいてくれ
って言った事もありました。
それでも両親はそういう訳には行かないってずっと見守ってくれたんです。
学校辞めてすぐ仕事に就きましたけど結局続かなくて辞めちゃって友達とばっか遊んでました。
そんな俺に両親は通信の学校を進めてくれたんです
何もしないのも駄目だと思って通信の学校に行ったんですが
その通信の学校がめちゃめちゃ良い先生ばっかで
すっっっごく楽しかったんです。
そこでやっと更正したんですが両親の暖かさがようやく分かって、
でも人生っていうのは皮肉なもので
暖かみが分かった途端に母親が死んだんですよね。
でも俺は葬式でちゃんとお礼を言えました。
親父と一緒にありがとうって言えました
わたる君は叱ってほしかったんだと思います。
もう今となってはどうしようもないけど
叱ってほしかったんですよ?
きっと。
俺がそうでしたから
放っておいてくれ
って言って
本当に放っておかれたら
俺今どうなってた事か
わたる君は、もう亡くなってしまいました。
だけど最期は見送ってあげて下さい。
家族みんなで見送ってあげて下さい。」

そう言い店長は頭を下げた


長い沈黙



「……分かりました」




お母さんのその言葉に
店長も頭を上げた

「ありがとうお母さん!」

お母さんにお礼なんて
いつぶりに言っただろう


店長と私は目を合わせて微笑み合った


―――よかったね

店長の目はそう言っていた
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