15歳差の愛してる.
帰りの車内

小さい時私が好きだった
ディズニーの音楽が響く

「お父さんまだコレ聞いてたの?」

いたずら心でお父さんに聞いたけど
真面目な声でお父さんは答えた

「いつもは違うよ。
でもさくら好きだろって思って出て来る前昔のCD引っ張り出して来た」

「何年前の話ししてんの~!」

車内に家族の笑い声が響く


―――幸せ

あっ
そういえば1番の疑問

「ねえお父さん?
聞いてもいい?」

「なに?」

「あのー…
今日何で来ようって思ったの?
昨日あんなに拒んでたのに」

お母さんも頷きながら
付け足した

「確かに私も気になってた」

お父さんの返事を待つ私達

ふーっと息を吐いた後
お父さんが口を開く

「今日の朝お前達が家を出て行った後来たんだよ。」

……来た?

何が?
お兄ちゃんの幽霊?


まさかね…


「しゅんいち君が来たんだよ」

―――しゅんいち

私の知ってる
俊一は1人しかいない


日暮 俊一





―――店長だ


普段俊一なんて呼ばないけど
一瞬で分かった

私の
愛おしい愛おしい人の名前


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