15歳差の愛してる.
分かった……?


「イヤッ!店長ちょっとまっ…」

――プチッツーツーツーツー

切れ…た…?



…え?
今何て言ったの?

―――会いたい
―――わかった

……えっ?

何?
わかったって?

その前に私何で
会いたいなんて
言っちゃったの?

……もう…
私馬鹿じゃないの?

でも確かに店長は言ったよ

「…わかった」

口に出して言ってみると
一気に恥ずかしくなった



……店長…家に来るって事?

イヤイヤ…


会いたい


で来る様な関係じゃないよね?

何かの勘違いとか…?
聞き間違いとか…?

そうだよね…

きっと

そうに決まってる


さてっ、
歯磨きでもして寝ましょうか


「あぁ~眠い、眠い、」


―――ピーンポーン!
明るいインターホンの音が響く


……え?


ピンクのレースのカーテンを一気に開き
窓を開く

すぐに部屋の暖かさと外の寒さが入り交じった

顔だけ外に出し
ゆっくりとインターホンを鳴らした主を探した

…居た


黒いスーツにチェックのマフラー。
ポケットに手を突っ込んで
寒そうに
肩をつぼませていた
電灯に照らされた
ほんのり茶色い髪の毛が
あの人だって教えてくれる。


「…店長」

内緒話しをする時の様な
小さい声でつぶやいた

「…店長だ」




…会いたい




電話で言った一言が
頭の中で
グルグル駆け巡る。


……会いたい


「会いたいよ…」



「…店長!!!」

今度は店長に聞こえる様に
大きな声で叫んだ


パッと顔を上げた店長は
私を見つけ、手を振った

笑顔の店長が手振って
笑顔の私が手を振り返す


「…店長!」


「さくらちゃん!」
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