15歳差の愛してる.
店長の方を見ると
何かを凝視していた


何見てるんだろ?

店長の視線と同じ方向に
視線をかたむける


―――あ!
そっかっ!



店長の視線の先は



子供服売り場


店長の事だから

廉君に似合うかな?

なんて思って
見てんだろうな~?

どこまでも
家族思いな店長




「店長!
車の中に忘れ物しちゃいました!」

パッとこっちを振り向く店長

「ホンマに?
そやったら取りに行こか!」

立ち上がった店長に
うんん、
と首を振る私

「大丈夫です!
1人で行ってきますよ!」

「ホンマに?わかる?」

「子供じゃないんだから
大丈夫ですよ!」

「そっか?
分かった、
気をつけてな?」

「はーい」

―――チャリッ

店長の鍵が
私の手に渡る


「変な男に声かけられたら
電話すんだよ?」

「はい!」


ちょっと
小走り気味で走る

振り向くと
店長が手を振っていた

ニコッて笑ったら
ニコッてしてくれた



ゴメンね、店長?

車に忘れ物なんて
してないんだ

駐車場に繋がるドアを
通り過ぎて
お店の中を
グルッと遠回りをする


着いた場所は


“子供服売り場”


店長にプレゼントしたいんだ

本当はネクタイにしようかって
思ったんだけどね

店長が欲しい物
そんなんじゃないんだよね?

……1029円

何度見ても

1029円

私のお財布…寂しいな。

「何かお探しですか~?」

店員さんの声に
お財布をサッと閉じる
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