「改めて、七瀬さん、こんばんは。主治医の広野蒼空です。問診票見たよ。前は兄貴だったんだね。」

兄貴…?

「苗字一緒…。兄弟ですか?」

「うん、そうなんだ。ちなみに今日はどうしたの?どんなことがあったのかな?」

「…お父さんとお母さんが小羽のこと捨てました。」

舌足らずで伝わりにくいかもだけど思い出したくない。

「うん、そうだったんだね。嫌だったね。」

「薬…ください。」

一番欲しいものを率直に言った。

「んー」

先生はしばらく考えて

「じゃあ、1週間分あげるから、来週もう一回来れるならね。」

「…小児科の診察室でいいなら。」

精神科は怖い、あの時だって…。

ーいや、昔のことは忘れよう。

「うん、わかった。いい子だね、来週迎えに来るよ。薬はどうかな?もう効きにくいかな?」

正直もう弱くなっている。

「もう少し強いの…」

「うん、そうだよね。じゃあ、強めのやつ出すけど飲みすぎるのはなしね。」

「わかりました、ありがとうございます…。」

「あっ!小児科ではいつも通り振る舞うけど、あんまり気にしないでね。」

「わかりました、失礼しました。」
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