粉雪
南風に青葉が揺れた
加奈の栗色髪が優雅になびく

シャンプーの甘い香りが鼻腔をすり抜けた


加奈は目を伏せて
スケッチブックを握った


「描けないの…。
人を描こうとしても、描きたいって思える人が居ない…。
この人の全てを描きたいって、強く思える人が居ないの。」



スケッチブックを握る手が震えていた


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