粉雪
油が染み付いたヨレヨレの紙を慎重に開いた



それは
加奈からの手紙だった



「尚司くんへ

初めて手紙を書きます。

桜の花びらが舞うなかで尚司に出会って、それからずっと一緒に居てくれたね。
私ね、ずっと独りぼっちだったの。施設で育った私には家族も居なかった私は、人と関わることが苦手だった。いつも1人で絵を描いていた。

でも。
そんな私のそばに片時も離れることなく、尚司くんはいてくれた。

まるで、太陽のように私を優しい光で包んでくれた。
私は
初めて尚司くんを描きたいって思ったよ。


でも、私には時間がなくなってしまった。
尚司くんと一緒に居るようになってから、しばらくして、私は白血病と言う宣告を医師から受けたんだ。


何度も
何度も
尚司くんに言おうと思ったよ。だけど、いつも生き生きして、輝いてる尚司くんの笑顔を消したくなかった。

だから、私は1人で白血病と戦ってきます。
しばらく会えなくなると思うけど、1年後のクリスマスに…あの河川敷で会えることを信じて…


その日まで、さようなら。

加奈」
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