粉雪
「…加奈…?」


恐る恐る口にした名前


何度も何度も
呼んだ名前



俺の言葉に赤いコートの女の子は振り返った



「やっと
会えたぁ…。」


少し痩せた加奈がそこにいた



毛糸の帽子を目深にかぶり
寒さに体を震わせながら
加奈は
あの、俺が一番好きな笑顔を見せた



「なに…なにやってんだよ!突然居なくなって…。」

思わず声が大きくなる


「ごめん…なさい。」


謝る加奈をグッと抱き締めた



久しぶりの加奈の香り



「もう二度とこんなことすんなっっ!
俺の前からいなくなるな!!」



力を入れて抱き締める


加奈は何度も腕のなかで頷いた















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