タロくんとハナちゃん
(あぁ…幸せ……!)

実は、華子が起きる少し前から目が覚めていた太朗。

華子が腕をさすってくれたり、必死に起こそうとしている姿を堪能するためにしばらく寝たフリをしていたのだ。

華子の口唇を貪り、離した太朗。
フフ…と笑って、華子を抱き締めたまま起き上がった。

「お腹すいたぁー」

「はい!もう、出来てますよ!」

太朗が洗面をしている間に、テーブルに料理をセッティングする。

「美味しそう~!」
「そうですか?」

「うん!美味しそう!
ハナちゃんが、僕のために一生懸命作ったことがわかるから」

“いただきます”と言って、太朗が食事を口に運ぶ。
華子は、緊張で表情を固くしながら太朗を見つめる。

「………ん!
………ん?」
太朗の眉間にシワが寄る。

「え……タロくん?」
華子は、不安に襲われる。

(ま、まさか!?
美味しくない!!?
そ、そんなはずは……!!?
ちゃんと分量は量ったし、味見もしたし!)

しかし、太朗は全く別のことを考えていた。

(あぁ…可愛い……可愛すぎ……!!
どうしよう……このまま、押し倒したい……!)

一秒一秒、華子への愛しさが増していく。


「………フフフ…」
「え?」

「凄く美味しい!」

「へ!?」

「ハナちゃん、とーっても美味しいよ!」
「ほ、本当ですか!?」

「うん!美味しい!」

「よ、良かった……」
ホッと息を吐いた華子は、やっと自分も食事に口をつけるのだった。


朝食後太朗は、煙草を吸いスマホのネットニュースを見ていた。
ソファに座っている太朗に、コーヒーを出す。

「タロくん、コーヒー飲みません?」
「うん!ありがと!
ほら、ハナちゃん。隣!座って?」
横の座面をトントンと叩く。

「え?でも、まだ…片付けが……」

「ハナちゃん!
隣、座って?」
甘えるように上目遣いをする、太朗。

「は、はい////」
太朗の横にちょこんと座った。

すると太朗が、ゆっくり頭を撫でだした。
華子も太朗を見上げる。

「ほんと、可愛いよね~ハナちゃん!」
「あ、ありがとうございます/////」
(は、恥ずかしい/////)

「ハナちゃん、僕のこと好き?」
「はい!タロくんのこと好きです!」

「僕も大好きだよ。
好きすぎて、どうにかなるくらい……!」
「は、恥ずかしいです…/////」

「可愛い~!
ハナちゃん、キスして?」

「はい////」

華子の顔が近づいて、太朗は目を瞑った。
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