タロくんとハナちゃん
最寄り駅に着き、大学に向かう。

大学では、理一郎と俊彦が待っていた。
「やっと来た!」
「タロさん、ハナちゃん!こっち!」

「ん」
「おはようございます!」

「早く行こうぜ!」

太朗、華子、俊彦は、ほとんど同じ講義をとっているので、三人で行動する。
理一郎は学年が一つ上なので、途中で別れた。

講義室に着いて、太朗と俊彦に挟まれるように座る華子。

三人は、注目を浴びていた。

「やっぱ、カッコいいよねー」
「さすが!タロマルの総長と幹部!」
「あの子、いいなぁー」
「だよね!二人に囲まれてさ!」


華子は恥ずかしさと恐れ多さで、俯いていた。

「「ハナちゃん?」」

「え?はい。なんでしょう?
………//////」
両側から覗き込まれる。
イケメン二人に見られ、やっぱり顔を赤くする。

「どうしたの?体調悪い?」
太朗が頬に触れてくる。

「あ、いえ////」
「ほんとに?無理しないでね?」


「━━━━自信持たなきゃ!」
講義後、トイレに行き洗面台の鏡に向かって気合いを入れている華子。

トイレを出ると、太朗がタタタッと駆け寄って抱き締められた。
「ハナちゃん!大丈夫!?」
「え?」

「なんか、遅かったから。
やっぱ、体調悪いんじゃない?」

「そんなことないですよ!」
(どうしよう…私が自信がないせいで、逆に心配かけちゃった…)
まさか、自信がなくて気合いを入れていたなんて言えない。

「そう?とりあえず、次の講義まで時間があるから、ゆっくりしよう!」
「はい」
華子の手を取り、指を絡めて握った太朗。
優しく微笑み、手を引いた。

大学内にあるカフェに向かった、二人。
窓際にあるカウンターの席に並んで座った。

「あの、タロくん。
俊彦くんは?」
「ん?俊彦は、学食だよ。
俊彦もいた方がいい?」

「え?いや、そうゆうわけじゃ…」

「ハナちゃんには、僕だけがいればいいでしょ?」
太朗の大きな手が、頭の上に置かれ顔を覗き込まれた。
「はい/////」

目の前で、微笑んでいる太朗を見て華子は思う。

どうしてタロくんは、こんなに私を思ってくれるんだろう。

こんな……何の取り柄もない私のことを。

もっと、自信が持てるようになるにはどうすればいいのだろう。と━━━━
< 26 / 59 >

この作品をシェア

pagetop