タロくんとハナちゃん
「━━━━━ひっ!!?」

「あ!ごめんね!僕だよ!太朗!」
ビクッと震え布団を被る華子に、安心させるように話しかける。

「え?あ…た、タロくん……?」

「うん!おはよ、ハナちゃん!」

「あ…お、おはようございます」

「びっくりさせて、ごめんね!」
ベッドに近づき、隣に座る太朗。

「いえ。大丈夫です!」

「迎えに来たんだけど、早く来すぎちゃって(笑)
ハナちゃんのお母さんに中に入れてもらったんだ!」

「そうだったんですね。
あ、すぐに準備します!」

パタパタと準備をする華子を見つめる。

「ハナちゃん」

「あ、はい!ごめんなさい!もうすぐで準備できます!」

「ううん。そうじゃなくて!」

「……??」

「ハナちゃん、どうしよう。
好きすぎて、死にそう」

「へ?」

「はぁ…好き……」
太朗の大袈裟な発言に固まっている華子を、抱き寄せ包み込んだ太朗。
華子の頭に顔を埋めて、呟いた。

身長差がある二人。
太朗は抱き締め、華子の頭のてっぺんに顔を埋めるのが好きだ。

「ハナちゃん、良い匂い~」

そして華子も、太朗の胸に顔を埋め匂いを嗅ぐ。
「タロくんも、良い匂いがします…/////」

「フフ…早く、行こ?
理一郎が待ってる!」
「あ、はい!」


太朗と華子は、今年大学に入学した大学一年生。
しかし、年は太朗の方が一つ上。

太朗は、華子と一緒に大学に入学する為に一年浪人したからだ。

そして今日は、華子が太朗の自宅マンションに引っ越す日。
今日から同棲するのだ。


そして二人は、華子の実家を出た。

家の前に車が止まっていて、運転席から男性が出てきた。
「やっと出てきた!」

「ん。
俊彦(としひこ)、これ!」

「はーい!
…………あ…理一郎さん、かなり立腹っす…!」
太朗から、華子のスーツケースを受け取りながら俊彦が耳打ちする。

「ん」
太朗は小さく返事をして、華子に微笑んで向き直った。
そして華子の手を引き、同じく家の前に停めていたバイクに向かった。

「ハナちゃん、はい!」
ヘルメットを被った太朗は、お揃いのヘルメットを華子に渡す。

「あ、はい!
俊彦くん、すみません!よろしくお願いします」

俊彦にペコッと頭を下げ、太朗の後ろに跨がった。
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