タロくんとハナちゃん
結局━━━流されるまま、男達についていった水羅。
男達のたまり場に向かった。

薄暗い廃工場。

そんな中爽やかに、総長らしき男が話しかけてくる。
「えーと…確か、ハナちゃんだよね?」

「あ、は、はい」

「でも、今日はどうしたの?」

「え?」

「だって、タロといつも一緒だろ?
タロ、絶対離れないじゃん!」

「あ、えーと…」
(どうしよう……今更“違う”なんて言えないし)

「ん?」

「たまには、一人になりたいって話になって」

「へぇーそうなんだー」

「………」
意味深に水羅を見る、男達。
周りの男達も、ニヤニヤしている。

「……え…な、なんですか?」

「ううん、何もー」
「━━━━━━━ねぇねぇ!」
「はい」


「タロマルの姫ってバカなんだね~(笑)」

「え………」

「え?って、わかんないの?
ここが何処か」

「え?」

「紫蘭のたまり場だよ?」

「え?え?」

「は?マジで、わかんないの?」

「………」
(え?え?どうゆうこと?
わかるわけないじゃん!)

「マジで、ウケる~!」
「じゃあ、いいんじゃね?」

「だな!
あーそぼ?」
あっという間に押し倒され、組み敷かれた。

「え?な、何!!?」

「だから!遊ぼ?
すーぐ、気持ち良くしてあげるよ?」
そう言って、いかにも怪しい注射器を出してきた。

「え……!!?う、嘘……!!?
や、やだ……やめて…!!!!」
水羅の身体が震えだし、バタバタ暴れだす。

「大丈夫!チクッてするだけだから!
後は、天国だよ~!」

やだ!やだ!やだ!やだ!
これ、絶対、なんか怪しい薬じゃん!!!

「━━━━━━ち、違うの!!!」

「は?おとなしくしろ!!?」

「私は、タロマルの女じゃないの!!!」

「は?今更、何言ってんの!!?」
「バカもいい加減にしろよ!!!」

「ほんとよ!!
バッグ!!バッグの中!!見て!!
学生証が入ってる!!見て!!」

「あ?
…………おい!」
男が、舌打ちして仲間に指示を出す。

別の男が、水羅のバッグの中身を見る。
学生証を確認する。

“冴草 水羅”

「………マジかよ…
おい!その女の言ってること、マジみたいだぞ」

「あ?」
学生証を、水羅を組み敷いている男に見せた。

「マジかよ……
タロマルの女じゃねぇと、値段半減すんだよなぁー」
「どうする?」

「………おい!お前、◯◯大学っつうことは、本物のタロマルの姫のこと知ってるよな?」

「え、えぇ!私は、その子の友達よ!」

「へぇー!
じゃあ、連れてこいよ」

「え?」


「本物のハナちゃんを連れてきたら、お前を解放してやる━━━━━━」
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