タロくんとハナちゃん
「早く、消えて?」
俊彦が、水羅を睨み付ける。
「で、でも…私…」
言いよどむ水羅。
そんな水羅に、俊彦は舌打ちをして手を掴んだ。
「ここにいられたら、マジで困んの!
こっち!」
そして、講義室の外に連れ出した。
「悪いけど、今日はこの講義出ないで。
今からの講義、今日一回位なら出席しなくても大丈夫だろ?」
「え?たす━━━━━」
“あー、そうだ!
タロマルの連中にも、絶対知られんなよ!!?
あくまでも、ハナちゃん一人に誰にも知られずに来させろ!”
「あ?なんだよ」
「あ、いえ…
と、とにかく!華子にどうしても、相談があるんです!
なんとか、華子と二人で会わせてくれませんか!?」
「無理だ」
「お、お願いします!!」
「考えてみろよ!
“あの”タロさんが、ハナちゃんから離れると思ってんの!?
週一の、たった一コマの講義でさえ、あんな荒れて大変なのに」
「そ、それは……」
「タロさんからハナちゃんを離せる人間なんて……
この世に存在しねぇよ!」
そんなことは十分わかっている━━━━━━
でも、こっちだって命が懸かっている。
とりあえず、華子が一人になる機会を得るしかない。
水羅は、華子から目を離さないことにした。
華子がトイレに行った隙をつくことにしたのだ。
「タロくん、トイレに行ってきますね!
先に、学食に行っててください」
「えー!ここで待ってるよ?
例え数分でも、離れるのやだ!」
「でも今日は、プレミアムカツカレーの日ですよ?
一刻も早く行かないと!」
プレミアムカツカレーとは……
その名の通り、贅沢に黒豚を使った分厚いカツに、一晩じっくり煮込んだカレーをかけた、高級レストラン並みのカツカレー。
それが手頃な価格で食べれるという、月一回のプレミアムなメニューだ。
限定100食で、毎月大行列なのだ。
しかし決まりがあり、必ず食べる本人が並ばなきゃいけないこと。
買えるのは、昼休みの時間のみ。
太朗と華子は大盛を二人でシェアするので、どちらかが並べばOKだ。
「うーわかった……
急いで来てね!」
「はい!」
案の定、華子がトイレに入っていく。
水羅も後を追ってトイレに入った。
華子が個室から出てくるのを待つ。
「━━━━華子!!」
「へ?水羅ちゃん!?」
「ごめん。待ち伏せみたいなことして。
どうしても、話したくて!」
「あ、はい。
どうしました?」
「今から、私と一緒に来てくんない!?」
「え……」
「お願い!!
じゃないと…私……」
「……で、でも…」
「お願い!!!お願いします!!」
華子の肩を持ち、必死に懇願する。
水羅の身体は震え、目は潤んでいた。
「………」
“ハナちゃん、いい?
今後は、あの女…冴草 水羅に関わっちゃダメだよ!!
詳しいことは言わないけど、とにかく危険な奴だから”
華子の頭の中に、太朗の言葉が蘇っていた。
俊彦が、水羅を睨み付ける。
「で、でも…私…」
言いよどむ水羅。
そんな水羅に、俊彦は舌打ちをして手を掴んだ。
「ここにいられたら、マジで困んの!
こっち!」
そして、講義室の外に連れ出した。
「悪いけど、今日はこの講義出ないで。
今からの講義、今日一回位なら出席しなくても大丈夫だろ?」
「え?たす━━━━━」
“あー、そうだ!
タロマルの連中にも、絶対知られんなよ!!?
あくまでも、ハナちゃん一人に誰にも知られずに来させろ!”
「あ?なんだよ」
「あ、いえ…
と、とにかく!華子にどうしても、相談があるんです!
なんとか、華子と二人で会わせてくれませんか!?」
「無理だ」
「お、お願いします!!」
「考えてみろよ!
“あの”タロさんが、ハナちゃんから離れると思ってんの!?
週一の、たった一コマの講義でさえ、あんな荒れて大変なのに」
「そ、それは……」
「タロさんからハナちゃんを離せる人間なんて……
この世に存在しねぇよ!」
そんなことは十分わかっている━━━━━━
でも、こっちだって命が懸かっている。
とりあえず、華子が一人になる機会を得るしかない。
水羅は、華子から目を離さないことにした。
華子がトイレに行った隙をつくことにしたのだ。
「タロくん、トイレに行ってきますね!
先に、学食に行っててください」
「えー!ここで待ってるよ?
例え数分でも、離れるのやだ!」
「でも今日は、プレミアムカツカレーの日ですよ?
一刻も早く行かないと!」
プレミアムカツカレーとは……
その名の通り、贅沢に黒豚を使った分厚いカツに、一晩じっくり煮込んだカレーをかけた、高級レストラン並みのカツカレー。
それが手頃な価格で食べれるという、月一回のプレミアムなメニューだ。
限定100食で、毎月大行列なのだ。
しかし決まりがあり、必ず食べる本人が並ばなきゃいけないこと。
買えるのは、昼休みの時間のみ。
太朗と華子は大盛を二人でシェアするので、どちらかが並べばOKだ。
「うーわかった……
急いで来てね!」
「はい!」
案の定、華子がトイレに入っていく。
水羅も後を追ってトイレに入った。
華子が個室から出てくるのを待つ。
「━━━━華子!!」
「へ?水羅ちゃん!?」
「ごめん。待ち伏せみたいなことして。
どうしても、話したくて!」
「あ、はい。
どうしました?」
「今から、私と一緒に来てくんない!?」
「え……」
「お願い!!
じゃないと…私……」
「……で、でも…」
「お願い!!!お願いします!!」
華子の肩を持ち、必死に懇願する。
水羅の身体は震え、目は潤んでいた。
「………」
“ハナちゃん、いい?
今後は、あの女…冴草 水羅に関わっちゃダメだよ!!
詳しいことは言わないけど、とにかく危険な奴だから”
華子の頭の中に、太朗の言葉が蘇っていた。