タロくんとハナちゃん
断らなきゃ!

「お願い!!華子……!」


…………でも、やっぱり関わらないなんて出来ない。

水羅は、一人で寂しくしていた華子に声をかけてくれた、たった一人の友人。

何か裏があるのは、見ればわかる。
太朗の言うように“危険”なのもわかる。

わかるが、目の前で涙を流し懇願する彼女を無下にはできない。


「━━━━わかりました」

「ほんと!!?ありがとう!」

「タロくんに知らせてきます」

「あ、それは!」

「え?」

「佐藤さんには、内緒で来てほしいの」

「え?でも、それはさすがに……」

「お願い!!」
水羅は、華子の手を掴み引っ張った。

「え━━━!!!?み、水羅ちゃん!!?」

引っ張られるまま、外に出た華子。
「水羅ちゃん!!ちゃんと行きますから、タロくんに知らせてからに!!」

華子が必死に訴える。
しかし水羅は、無言で引っ張っている。

しばらく歩くと、ワゴン車が止まっていて中から紫蘭の男達が出てきた。

「水羅ちゃん!こっち!」

「え……」
(だ、誰……!!?)

「誰にもバレてないよな?」
「は、はい!」

「水羅ちゃ…この人達……」

「ごめん、華子」

「え……」

「ハナちゃん、ちょっとお利口さんにしてねー」
そう言って、口をハンカチで塞がれた。
華子の意識がなくなり、ワゴン車に乗せられた。

「水羅ちゃんも乗って」

「え?私は、解放じゃ……」

「………」
無言で水羅を見る、紫蘭の男。

「え…あの……」

「………君ってさ…」
「え?」

「……いや、何もない。
早く乗れよ」

水羅も乗り込み、ワゴン車が発進した。



「………ん?あれ…って……ハナ?
なんで?」
たまたま理一郎が見かけ、慌てて太朗に電話をかけた。
< 46 / 59 >

この作品をシェア

pagetop