タロくんとハナちゃん
「━━━━おはよ」

華子が目を覚ますと、紫蘭のたまり場にいた。

「え?あ…」
華子は、男達の指を見た。

当然、ライオンの指輪をしていない。

「君が“本物の”ハナちゃん?」

「あ…あ……」

「俺は、紫蘭の総長の柴多(しばた)でーす!」

「し、紫蘭……?
紫蘭って……!!!?」
(確か、タロくんが言ってた、タロくんの敵!)


『あいつ等、最低なんだ。
薬をばら蒔いてるって、噂もあってさ!
だからハナちゃん、気をつけてね!』

太朗の言葉を思いだし、ガクガク怯えだす華子。


「━━━━そう!それ!その反応!!」
柴多が、華子を指差し嬉しそうに笑う。
そして続けて言った。

「間違いない!君が本物だ!」と。

「な、なんで……」

「んー?
君、ある人達に売ったら、すんごい金になるんだー」

「え……?」

「だって“あの”天下のタロマルだよ?
その総長の女!
俺達の世界では、君は賞金首みたいなもんなの」

「た、助けて…タロく……」
消え入りそうな声で、太朗に助けを求める。
あまりの恐ろしさで、身体は固まり動かない。


「━━━━てか、ハナちゃんも可哀想だよねー」
「え……」

不意に、柴多が言った。

「こんな最低な女のせいで、俺達に良いように使われるんだから」

「え?」

「そこの女だよ」
華子の隣にいた水羅を顎で指す、柴多。

「え?」

「だってそうだろ?
タロの女って嘘ついて街を歩き、危なくなると“別人”だと訴える。
更に自分可愛さに、ダチを平気で売る。
ハナちゃんがどうなるかわかってて、この女はハナちゃんを連れてきた。
…………な?最低だろ?」

「………」
華子が、水羅を見る。
その瞳は……悲しみと苦しみで歪んでいた。

水羅は視線を逸らし、目をギュッと瞑った。



「━━━━━さぁ!
薬打つ前にー
俺達で楽しむか!」

「「「イェーイ!!」」」

華子が、奥の大きなソファに連れていかれる。

「水羅ちゃんも!」


華子と水羅は、ソファに押し倒された。

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