タロくんとハナちゃん
「タロくん…」

「ハナちゃん…」
太朗は華子の無事を確認するように、全身を見回す。
「あ…服…」
太朗が、切なく呟いた。

華子は微笑み、安心させるように言った。
「タロくん、大丈夫です!」

「え?」

「服は、こんなですけど……
破られただけで、何もされてません!」

「ほんとに?」

「はい!
それに、私……あの人の股間を蹴り上げました!
タロくんに言われたこと、思い出して!」

「フフ…そっか!
偉い!偉い!」
華子の頭を撫でながら、微笑む太朗。

太朗の言葉━━━━━━

『タロくん』
『ん?』

『もし……襲われるようなことがあった時、私にも出きる防御ってゆうか、護身術ないですか?』

『うーん…
あ!そんな時は、相手の股間を蹴り上げるんだ!』

『え!?こ、股間ですか!?/////』

『うん。どんな強い奴でも、そこは弱点だから!』

『わ、わかりました/////』


「━━━━タロ」
そこに、理一郎が声をかけてくる。

「あぁ。そうだね」
そう言うと、再度華子に微笑んだ。

「タロくん?」

「ハナちゃん、外にタロマルの仲間がいる。
すぐに行くから、待ってて?」

「え?
一緒に、行きましょ?」
太朗の微笑みの奥底に、とてつもない恐ろしさが見えて、華子は嫌な予感がしていた。

「ハナちゃん」
首を横に振る、太朗。

「ハナ!!早く行け!!」
理一郎に一喝され、華子はたまり場を出た。


そして太朗達は、紫蘭に向き直った。

「柴多くん」

「……っ…いててて…タロ、お前やり過ぎ…!!」
柴多がゆっくり立ち上がりながら、太朗を見る。

「ちょっと待っててくれる?」

「は?」

「先に、地獄に落ちるべき奴がいる」

「………は?
…………あー(笑)」
フフ…と笑い、柴多達・紫蘭と太朗達・太郎丸の男達が、ある人物に注目した。


「ひっ…!!!?」

言わずもがな……水羅だ━━━━━━


「さぁ、どうしようか?」

「さ、佐藤さ……」
太朗のあまりの恐ろしさに、水羅はガクガク怯えだす。

「言ったよね?」

「え……」

「ハナちゃんを傷つけないでって」

「ご、ごめんなさい!!!」


「は?謝って済むと思ってんの?」

太朗の表情、雰囲気、声が……黒く重く落ちた。
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