タロくんとハナちゃん
「━━━━ハナ。風呂、入ってこいよ。
冷えてるだろ?」

「え!?/////」

「は?」

「……/////」

「………」

「……/////」

「……はぁー、お前まで変な妄想すんなよ」

「ご、ごめん…
じゃ、じゃあ、入ってくるね」
そう言って、風呂場に向かった。


そして今、二人とも風呂に入り、並んでソファに座りテレビを見ている。

ふぁぁぁ…と、華子があくびをしだした。

「ハナ、寝る?」

「あ、うん」

「ん。
じゃあベッド、使えよ」

「へ?」

「へ?って?」

「私、このソファでいいよ」

「は?」

「だって、このソファ小さいし。
理一郎くんは、横になれないでしょ?」

「だからって…ハナをソファに寝かせて、自分がベッドに寝れねぇよ」

「でも…」

「でも…じゃねぇよ!
はよ、寝ろ!!」

「………わかった…」
華子が、ベッドに向かい横になる。


「……ったく…
電気、消すぞ」
「うん」
理一郎は、ソファに座った状態で目を瞑る。

シンと静まり返った、部屋。

すると━━━━ものの10分程で、華子の寝息が聞こえてきた。
「………は?
まさか、もう寝た?」

理一郎はベッドに近寄り、ベッドライトに明かりをつけ華子の顔を覗き込んだ。

「えー、もう寝てるし……
つか、寝れんの?
俺って、そんな意識されてねぇの?(笑)」

華子が気持ち良さそうに寝ていて、理一郎は自嘲気味に笑う。

理一郎が、ベッド脇に腰かける。
華子の目元にかかる前髪を、優しく払った。

「可愛い…」
思わず、呟く。



いつの間に、こんな綺麗になったんだ?

俺の恋愛対象外ド真ん中だったのに……
どんくさくて、臆病で、弱い女。

太朗に出逢ってからか……

あっという間に、綺麗になっていった。



華子の頬に触れた。
柔らかくて、スベスベして気持ちいい。

すると、不意に華子が寝返りをうった。
頬に触れた手が、その反動で口唇に移動する。

「んん…」
華子の声が漏れる。

「ヤバッ……
…………つか////口唇、柔らかっ!」



キス、したい━━━━━━━

そんな気持ちに支配される。




ゆっくり、華子に顔を近づける理一郎。

あと少しで口唇が重なる……その時━━━━━━


ピンポーン!

部屋の呼び鈴が鳴り響いた。
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