タロくんとハナちゃん
それから理一郎を呼び、太朗と理一郎はソファに並んで座った。

暗い部屋で、ベッドライトとテレビの光だけの淡い光の中。
二人は、コーヒーを飲みながらボーッとテレビを見ていた。

「タロ」
「ん?」

「寝ないの?」
「うん。まだいい。
理一郎は?」

「俺も。
…………それに、寝たらその隙に殺られそう(笑)」
冗談っぽく言って、笑う理一郎。

「………
フッ…そんなことしないよ。
何もしてないことは、わかったから。
ハナちゃんの身体、一昨日に僕と愛し合ったままだった」

「え?わかんの?」

「わかるよ。ハナちゃんの身体のどこにキスマークがあるか、全部把握してるから」

「嘘…だろ…?」

「ほんとだよ。
いつもハナちゃんと愛し合ってるのは、この僕なんだから。
ハナちゃんのことは、ハナちゃんよりも知ってる」
「そりゃそうだけどよ……
スゲーな(笑)」


「━━━━━理一郎」
クスクス笑う理一郎に、向き直る太朗。

「んぁ?」

「本気で、人を愛するって“そうゆうこと”なんだよ。
理性なんて失くなる。
ハナちゃんの全てを把握して、独占したいって思うんだ。
だから離れたくないし、誰にも見せたくない」

「タロ…」

「でも“ある意味”理一郎達が羨ましいよ?僕は」

「え?」

「苦しいから。
こんなイカれた感情を持ってるとね……
暗くて、苦しくて、痛くて、不安が付き物だから」

「そう…かもな…」


しばらくすると………
「んんっ…」
と、華子の声が聞こえてムクッと起き上がった。


「ハナちゃん!?」
思わず、ベッドに駆け寄る太朗。

「…………あれ?タロくん?まだ夢の中?
あれれ?いつの間に服着たんですか?」

「は?」

「だって、今の今まで抱き合って……
あれ?理一郎くん?
あれーー?」

「ハナちゃん、何言ってるの?(笑)」



「どう考えても、夢の中でタロとヤってたな、こいつ(笑)」

「あれれー??」


そんなこんなで、波乱の夜は明けた。
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