もう唄わないで
届いた知らせ
あの夜から。
四年の月日が流れた。
中学二年生になった私は、星無市から遠いところに住む祖母の家に、家族と離れてひとり、身を寄せていた。
「響、二年生のクラスにはもう慣れた?」
祖母は夕食後にテレビを観ていた私の前に、ほうじ茶を淹れた湯呑みを差し出す。
私はそれを受け取りつつ、頷く。
「今年も優佳と同じクラスだったから、なんとかクラスには慣れたよ」
……優佳は中学の入学式の日、校門の前で桜の木を眺めていた私と祖母に話しかけてきた子で。
カメラを渡されて、優佳と優佳の両親の写真を撮って欲しい、と言われた。
祖母は写真を撮ることに苦手意識があるので、代わりに私が撮ったら、優佳に顔を覚えられたらしく。
それから、学校で会うと話しかけてくれるようになって。
いつの間にか、仲良くなっていた。
「そう、良かったね。響のお母さんが心配してたよ、全然連絡くれないって」
「……うん、またメッセージは送るよ」