もう唄わないで
「えっ!響!?どうしたの!?」
慌てた声で、私の顔をのぞきこむ優佳。
「熱でもあるの?体調悪いの!?」
そう言って、私のおでこに手を伸ばした。
その時。
ふいに、優佳の手で視界をふさがれそうになる。
「やめてっ!!」
大声が出た。
優佳の動作が一瞬止まり、すぐに伸ばした手を引っ込める。
教室内にいるみんなが、私を見ている。
「ご、ごめん。わ、私……っ!」
謝りつつ、まだ体の震えはおさまらない。
「保健室行く?ついて行こうか!?」
心配そうな顔のまま、優佳は聞いてくれた。
「だ、大丈夫……」
強がってみるけれど、まだガタガタガタッと小刻みに震える体。
「ごめん、やっぱり保健室に行ってくるって、先生に伝えておいてくれる?」
優佳が「うん」と頷くのを見て、私はノロノロと、教室をあとにした。
保健室に着く頃には、震えはおさまっていた。
でも、先生には「早退したい」と伝え、先生も了承してくれた。