もう唄わないで
「なぁ、今日の同窓会ってなんで開かれたのか知ってる?」
仲谷くんが声をひそめて話し始めた。
「なんでも、勇気くんのお母さんが開いてほしいって言ったらしいぜ」
岡本くんが目を丸くして、
「なんで?」
と、尋ねる。
「もう丸四年経つじゃん?情報収集したいんじゃないかって話だったけど」
「情報収集?」
と、思わず私は聞き返してしまった。
あからさまに嫌な表情をした仲谷くんは、
「響ちゃんは知らないんだろうけれどさ、勇気くんの家族、春になったら毎年駅前でビラ配りしてるんだよ。勇気くんの行方の情報を求めてさ」
と、教えてくれた。
「でも、なんで同窓会開催するの?」
と、璃花子ちゃん。
「知らない。手っ取り早いからじゃない?オレ達から何かを聞き出すにはさ」
仲谷くんの言葉に、私達は静かになった。