もう唄わないで

「いいか?絶対に言うなよ」
と、岡本くんは言った。



「これは、オレ達だけの秘密なんだから」



仲谷くんはシラけた表情で、
「言ったところで、信じてもらえないって」
と、呟く。



その時。

川口くんが手をパンパンと鳴らし、同窓会の始まりの挨拶をした。



「なんであいつ、仕切ってんの?」
と、仲谷くんが嫌そうに言う。



「仕切りたいんじゃん?グダグダの挨拶しか出来てないけどさ」



璃花子ちゃんの川口くんへの視線も、かなり冷たいものだった。



挨拶が終わり、男子も女子も、用意された飲み物やお菓子を持って、みんなでおしゃべりし始めた。



「そういえば、担任の先生は?」



私は気になって璃花子ちゃんに尋ねる。

璃花子ちゃんは「あぁ、園田(そのだ)先生ね」と言ってから、
「呼んでないんじゃない?園田先生、嫌われてたから」
と、どうでもいいと言いたげに教えてくれた。

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