もう唄わないで


「誰に?」

「誰って……、園田先生のことを良く思ってた人なんかいないよ?」

「そうなの?」

「だって、あの先生ってドライじゃん?保護者からも私達生徒からも嫌われてたよ。特に勇気くんのあの一件からさ」



璃花子ちゃんはウーロン茶の入った紙コップを手にして、
「勇気くんのお母さんが主催者なら、絶対呼んでないんじゃない?勇気くんのあの事件のことで、何にもしてくれなかったって責めてたもん。小学校の卒業式の日。わざわざやって来て、みんなの前で」
と、言った。



「そうなんだ」
と、私はそれ以上、そのことについて聞くのをやめた。



園田先生は、確かにドライで冷たいところもある先生だけど。

私にはそんなに嫌な印象は無かった。

若い男の先生で、たいして話したりはしなかったけれど。

先生に対して、特に嫌な思いはしていない。



そう考えていたら、璃花子ちゃんは私の考えを見透かしていたのか、
「まぁねー、響ちゃんは知らないこともあるよね?」
と、何気なく言った。

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