もう唄わないで
「響ちゃんだけだから」
と、璃花子ちゃんはため息を吐いた。
「響ちゃんだけが、逃げたの。だから怪しまれるんだよ」
璃花子ちゃんは、淡々と言う。
その口調に、責める気持ちがあるのか無いのか、判別出来ないくらい。
「しばらくひとりにならないほうがいいよ」
と、璃花子ちゃんは言った。
「私のそばから離れちゃダメだよ」
そう言って、私を見つめた璃花子ちゃんは。
ちっとも会っていなかったなんて嘘のことみたいに。
ずっとそばにいた、あの頃と変わらない。
親友の顔をしていた。