もう唄わないで
「そうだよ。これだから、仲谷は」
と、岡本くんも眉根を寄せた。
「あの」
と、私は口を開いた。
「あの、ごめんなさい」
私だけ、星無市から逃げて。
……そう言おうとして。
結局それは言わなかった。
「でも、怖かったから」
と、代わりに言った。
そのことが、みんなの癇に障った。
「怖いのは、オレらだって同じなんだよ」
と、仲谷くんが言う。
「そうだよ、響ちゃんだけが怖い思いをしたみたいな言い方はしないで」
岡本くんも非難するような顔をする。
「一番に逃げたくせに、何が『怖かったから』だよ。響ちゃんがいなくなって、オレら三人がどんな思いをしたか、響ちゃんにはわからないんだろうな」
と、仲谷くんは私を睨む。
そして、
「お前の怖がりもいい加減にしろよ」
と、付け足した。
黙って聞いていた。
それしか、出来ない。
そう思った。
だって。