もう唄わないで
叔母さんの家に行くために、駅前から出ているバスに乗った。
「仲谷くんや、岡本くんにも声をかけてみたんだけどさ」
と、璃花子ちゃんは話す。
「やっぱり、嫌だって言われてさ」
「……」
「まぁ、仕方がないよね?響ちゃん、二人で頑張ろう」
「うん。ありがとう、璃花子ちゃん」
璃花子ちゃんは首を振って、
「こちらこそ」
と、言った。
いくつかのバス停を越えて。
数年前に引っ越したらしい、叔母の住む町までやって来た。
バスからおりると、道を挟んだ向こうに叔母が立っていた。
「響っ!久しぶり〜」
と、叔母は両手を振ってくれる。
私と璃花子ちゃんは横断歩道を渡り、叔母のそばまで行く。
「久しぶり、叔母さん」
「はじめまして。今日はお世話になります」
「うん!あなたが璃花子ちゃんね?はじめまして!響がお世話になっています」
と、叔母は笑う。
叔母に連れられて、叔母の住むマンションの部屋まで移動する。