もう唄わないで
「叔父さんは?」
と尋ねると、
「あー、今日ね、休日出勤。ものすごく嫌がって仕事場に行ったよ」
と、叔母はケラケラ笑う。
叔母は去年、結婚をした。
叔父は叔母よりも七年歳下の人で。
趣味の集まりで出会った人らしい。
叔母は温かい紅茶を出してくれつつ、
「それで?聞きたい話って何〜?」
と、のんびりとした口調で聞いてきた。
「あの、小学生の時の話を聞きたいんです」
と、璃花子ちゃん。
「……小学六年生の時、【うるおい鬼】って遊びが流行っていませんでしたか?」
「【うるおい鬼】?なっつかし〜!あったね?そんな遊び!」
と、叔母。
「叔母さん、覚えてる?」
と、私は尋ねた。
「覚えてるよー、あれ、今考えるとさ、衝撃的な遊びだよね?だって、名前を言い当てられた【逃げる子】は【鬼の子】にご褒美を【差し出す】んだもんね!?」
「え?うん」
「いやー、どうかと思うよ?子どもの遊びなのにさ、ご褒美【差し出す】とかさー。ちょっと問題になったの、あたし覚えてる」