もう唄わないで
「問題?」
璃花子ちゃんが尋ねた。
「どういうことですか?」
叔母は思い出すように、ゆっくりと答えた。
「えっとね〜、確か、ご褒美って何でもよかったでしょう?でも、だんだん高額な物を要求されるようになってさ」
「【鬼の子】に?」
と、私は口を挟む。
「そう。流行ってた時にね、ひとりが可愛くてちょっと高額なキーホルダーを【差し出し】たのよ」
叔母はため息混じりに言う。
「みんな、そういう“本当のご褒美っぽい物”のほうが面白いってなっちゃったのよ」
「……なるほど、確かに可愛いキーホルダーをもらえるってなったら、本心では“遊び”じゃなくなるかも」
と、璃花子ちゃんが頷く。
「……でしょう?そしたらさ、【差し出す】物が高額化しちゃって、見兼ねた先生に出されたもんね。“【うるおい鬼】禁止令”ってやつ」
叔母は笑いながら言ったけれど、私と璃花子ちゃんは笑えなかった。