もう唄わないで

パタパタパタパタッ!



突然窓のほうから音がして、私と璃花子ちゃんは肩をビクッと震わせた。



「……あ、雨が降ってきたみたいだね。響、傘持ってる?」



私は「うん、折りたたみ傘を持って来た」と答えつつ、窓の外を見る。



厚い雲がどんよりと、空いっぱいに広がっている。

次第にザーッ!と、雨音が激しくなる。



「帰ろうか、響ちゃん」
と、璃花子ちゃんが立ち上がる。



「あれ?聞きたいことって【うるおい鬼】のことだったの?」


叔母は不思議そうな顔を私に向ける。

私は、
「あ、えっと……」
と、口ごもってしまった。



「都市伝説に興味があって、聞きたかったんです」
と、璃花子ちゃんが誤魔化した。



「そうなの?まぁ、【うるおい鬼】を今の子も遊んでるってことだよね?……なんか変わったルールだよね、あれ」
と、叔母は笑う。



「変わったルールって?ご褒美のこと?」



私が聞くと、叔母は頷いた。



「だってあれさ、【鬼の子】に【差し出し】たご褒美、返してもらえるじゃん」

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