もう唄わないで
「えっ!?」
私と璃花子ちゃんは、顔を再び見合わせてから叔母を見つめる。
「『えっ』って。……あれ?ルール変わったのかな?あたし達の時代ではさ、ご褒美に【差し出し】た物を返してもらえるルールがあったの」
「叔母さん、そのルールって!?」
「例えば、あたし達が【うるおい鬼】をしたとする」
「うん」
「あたしが【鬼の子】で、二人が【逃げる子】ね。あたしが響を言い当てると、響はあたしにご褒美を【差し出さ】なくちゃいけない。例えば、この紅茶だとしよう」
叔母は私の目の前にあった紅茶のカップを、自分の手元に引き寄せる。
「あたしはこれで、響から貰った紅茶を持ちながら、今度は【逃げる子】に戻る。響は【鬼の子】になっちゃう」
「うん、そうだよね」
私と璃花子ちゃんは、真剣な表情で頷く。
「【鬼の子】の響が、ご褒美に【差し出し】た紅茶を取り戻すには、それを持っている【逃げる子】に戻っているあたしを言い当てればいいの」
「それって、言い当て返すってこと?」