もう唄わないで
「響?大丈夫なの!?」
あれ?
私だけ?
みんなの目は、大丈夫なの?
暗くないの?
「あは、やだなぁ。響ちゃん!おどかさないでよぅ」
と、璃花子ちゃんが言う。
その声が、どこか緊張していることに。
私は気づいた。
「び、びっくりしたよねー?」
と、私もおどけたように言ってみる。
(これ、誤魔化したほうがいいってことだよね?)
私達はあはははっと笑い合い、叔母も「なんだー、びっくりしたじゃん」と、安心したみたいだった。
丁寧にお礼を言って、私達は叔母の家をあとにした。
バスに乗って。
璃花子ちゃんが、口を開いた。
「響ちゃん、目、見えないの?」
その声は震えている。
「見えるけれど……、すごく、暗い。見えづらいんだ。都市伝説とか、【うるおい鬼の歌】と関係あると思う?」
「【鬼の子】が目覚めたってこと?でもなんで響ちゃんの視界が暗くなるんだろう?それに唄ったのは、旧校舎でもない。条件は満たしてないのに」
私達はどちらともなく、自然と手を繋いだ。