もう唄わないで
「……終わりは、あったんだ」
私は呟いた。
(勇気くんは、気づいたんだ)
『もう唄わないで』
唄わなくちゃ、遊べない。
そういうことなの?
唄わなければ。
【うるおい鬼】は、終わるんだ。
「そうだよ、だから飽きたら適当に終わる。そういうことだよ」
私は、自分の部屋で。
誰に言うわけでもないけれど。
そう、はっきりと言った。
(でも、待って)
希望の光が差したと思った次の瞬間、心に暗い影が落ちる。
(そしたら、最後に【鬼の子】だった子は、【鬼の子】のままじゃん)
交代し続けるなら。
最後に【鬼の子】になる子は、救われない。
「……勇気くんを返してもらうには、あの夜のあの子を言い当て返さなくちゃ」
そしたら、あの子はまた【鬼の子】になって。
きっと戻れない。
この日常に。
あの子は、私を追いかけて来た。
『ずるい』って言ってた。