もう唄わないで

そこで、目が覚めた。



視界は暗いまま。

薄暗くても、自分の懐かしい部屋の天井が見える。



「夢……」



体を起こして、ふうっと息を吐く。






あの子の言う、あの数字。



(何か意味があるのかな?)



忘れちゃいけない、って言っていた。

数字……、忘れないようにする数字……。



携帯電話の番号とか?


でもそれだと数字の数が足りない。

家の電話?

……ううん、それもきっと違う。



(何かの暗証番号?)


でも、何の?




【鬼の子】になって。

ずっと忘れないように。

覚えている数字って何だろう?



(大事な数字ってことだよね……)





生年月日?

……違うか。

やっぱり何かの暗証番号?



(……他に何か、数字って使うっけ?)






気になる。

気になって、眠れない。



私は気分を変えようと思って。

スマートフォンを手に取った。



璃花子ちゃんにメッセージを送ろうかな?



時刻表示を見ると、深夜二時を回っている。

< 71 / 99 >

この作品をシェア

pagetop