もう唄わないで
そこで、目が覚めた。
視界は暗いまま。
薄暗くても、自分の懐かしい部屋の天井が見える。
「夢……」
体を起こして、ふうっと息を吐く。
あの子の言う、あの数字。
(何か意味があるのかな?)
忘れちゃいけない、って言っていた。
数字……、忘れないようにする数字……。
携帯電話の番号とか?
でもそれだと数字の数が足りない。
家の電話?
……ううん、それもきっと違う。
(何かの暗証番号?)
でも、何の?
【鬼の子】になって。
ずっと忘れないように。
覚えている数字って何だろう?
(大事な数字ってことだよね……)
生年月日?
……違うか。
やっぱり何かの暗証番号?
(……他に何か、数字って使うっけ?)
気になる。
気になって、眠れない。
私は気分を変えようと思って。
スマートフォンを手に取った。
璃花子ちゃんにメッセージを送ろうかな?
時刻表示を見ると、深夜二時を回っている。