もう唄わないで

二丁目……。

『21113』の、はじめの数字と一致する。


(でも、偶然かも。まだこれじゃあ、わからない……)



しばらく色んな記事を読んで、私は見つけた。



《行方不明の小六女子、笠井 奈保さん(十二)の顔写真、当時の服装、家族が公開。情報を求める声》



その記事をタップする。



スマートフォンに、パッと映し出された一枚の写真。



「っ!!」



ツインテールの髪。

半袖のTシャツ、ショートパンツ。

にっこり楽しそうに微笑む、その顔は……。



「……この子が、奈保ちゃん」



その写真はいなくなる数日前に撮った写真らしくて。

いなくなった時と同じ恰好をしているということで、公開されたものだった。



(あの子と似ている恰好……)



ちっとも怖くない、爽やかな笑顔。

汚れていない洋服。

サラサラの髪の毛。



写真を見ていると切なくて、泣きそうになった。










翌日の日曜日。

私は祖母の家には戻らなかった。




視界の暗さに少し慣れてきて。

ひとり、星無町二丁目に出かけた。

< 73 / 99 >

この作品をシェア

pagetop