もう唄わないで
二丁目……。
『21113』の、はじめの数字と一致する。
(でも、偶然かも。まだこれじゃあ、わからない……)
しばらく色んな記事を読んで、私は見つけた。
《行方不明の小六女子、笠井 奈保さん(十二)の顔写真、当時の服装、家族が公開。情報を求める声》
その記事をタップする。
スマートフォンに、パッと映し出された一枚の写真。
「っ!!」
ツインテールの髪。
半袖のTシャツ、ショートパンツ。
にっこり楽しそうに微笑む、その顔は……。
「……この子が、奈保ちゃん」
その写真はいなくなる数日前に撮った写真らしくて。
いなくなった時と同じ恰好をしているということで、公開されたものだった。
(あの子と似ている恰好……)
ちっとも怖くない、爽やかな笑顔。
汚れていない洋服。
サラサラの髪の毛。
写真を見ていると切なくて、泣きそうになった。
翌日の日曜日。
私は祖母の家には戻らなかった。
視界の暗さに少し慣れてきて。
ひとり、星無町二丁目に出かけた。