もう唄わないで
星無町の二丁目。
奈保ちゃんの言った残りの数字は、『1113』だ。
一番地ってこと?
それとも、十一番地?
町内の掲示板があったので、近寄ってみる。
大きな周辺地図も貼ってある。
もしも一番地なら、残りの数字は『113』。
十一番地なら『13』ってことになる。
地図を見れば、ここの番地は六番地までだということがわかった。
「二丁目一番地ってことだ」
と呟いて、私は一番地をじっくり見た。
だけどそれ以上のことはわからない。
マンションがあれば、残りの数字は部屋番号かな、と想像出来るけれど。
一番地にマンションは無い。
「……行ってみよう」
私はスマートフォンで地図の写真を撮り、歩き出した。
星無町は学区内。
小学校だって近い。
誰だったかわからないけれど、私にも二丁目に住んでいるかつての友達だっているはず。
四年の空白はあるものの、あまり迷わずに二丁目一番地周辺を私は歩いていた。