もう唄わないで
「……わかった」
と、私も渋々頷いた。
「絶対怖いことなんて起きないって!響ちゃん!!もし何かあったら、私が守ってあげるからさー」
璃花子ちゃんはケラケラ笑って言う。
(すごいなぁ、璃花子ちゃん。頼もしいんだなぁ)
私は怖くて仕方がないのに。
仲谷くんが、勇気くんの顔を見る。
「勇気くんは?行くよな?【うるおい鬼】しようぜ」
勇気くんは困った表情で、でも頷いて。
私達の肝試し決行は、秘密の約束になった。
それから。
三日経った。
勇気くんが、
「今夜は雲が多くて、月が隠れる可能性が高いんだって」
と、教えてくれた。
確かに朝からどんより曇っている。
「じゃあ、今夜ね」
と、璃花子ちゃんが言い、みんな黙ったまま頷いた。
その夜。
私達は旧校舎に忍び込んだ。
旧校舎の、歩くとギシギシ音が鳴る廊下を通って。
私達は入口から近くて、鍵のかかっていなかった一年二組の教室に入った。