もう唄わないで

「私、決めた」
と、私は切り出した。



「今夜、もう一度旧校舎に行って来る」



その言葉にすぐに反応したのは、仲谷くんだった。



「はっ!?何言ってんの!?バッカじゃねーの?」



岡本くんが「うるさい声出すなよ」と、仲谷くんを睨む。



「【うるおい鬼】をやって来る。それで、勇気くんを取り戻す」



私は宣言した。



「……ダメだよ、賛成出来ない」
と、岡本くんが言う。



「第一、取り返す方法なんかわかんないじゃん」

「それがね、わかったんだよ。響ちゃんの叔母さんのおかげで」
と、璃花子ちゃんが叔母との話を岡本くんや仲谷くんに話す。



話を聞いた二人は黙って顔を見合わせて、
「笠井 奈保って人で本当に合ってんの?」
と、私に尋ねる。



私も昨日に、確認したことを話す。



「……きっと、合ってる。絶対に取り戻せる。今なら」
と、私は言った。



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