初ちゃんと緑さん
いつもは私の方が身長が低いから、下から見上げていたのに、
今は緑さんが私を見上げている。
上目遣いの緑さんは、いつにも増して可愛い。
「じゃ、ギュッてしてよ」
「小さい子供じゃ、ないんですよ…」
私はその場にしゃがみこみ、緑さんをギュッと抱きしめた。
本当に、子供みたい。
体が離れると、緑さんの綺麗な顔が見えた。
(そんなに、子供みたいな目で見られたらなぁ…)
少し目がうるうるしていた。
私は緑さんの前髪をかき分け、絆創膏が貼ってある位置にそっと触れた。
「あと、2時間。頑張れますか?」
「…うん。」
いつになく素直。
いつもと違う雰囲気に、私の方がドキッとしてしまう。
私は今触れた場所にそっとキスをした。
緑さんの顔が一気に赤くなる。
「この前の、お返しです。仕事、戻りましょう。」
「…初ちゃん!!」
私が立ち上がると、後ろから頭をポンッとされた。
私は緑さんを下から見る。
やっぱり、この低さからが丁度いいのかも。
いつもより少し頬が赤い緑さんと、スタッフルームを後にした。