仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

 これで一件落着か……。

 そう思っていたところで、両親が智咲を支えながらやって来た。

「美月すまなかった。私達はお前を信じてやることが出来なかった」

 父が右手で目頭を押さえながら震える声で謝罪の言葉を述べた。それを聞いていた母も涙ながらに謝罪してきた。

「ごめんなさい。美月、本当にごめんなさい」

 美月はそんな両親を冷めた目で見つめていた。今更そんな謝罪の言葉を述べられたところで、はいそうですかとは答えられない。テレビやマンガなら、すぐに謝罪を受け入れ、仲良しこよしでハッピーエンドとなり抱き合うのだろう。しかし私は、その謝罪を受け入れられそうに無かった。すぐに今まで通り、何も無かった様には出来そうにない。それだけ私の心は傷つき、壊れかけていたのだ。そこを涼が助け出してくれたから今がある。

 美月はどういて良いのか分からず、助けを求めるように涼を見た。そんな美月を見た涼がフッと笑いながら美月に声を掛けた。

「美月はどうしたい?」

 少し考えてから美月は答えた。

「私は……分からない。でも私はこの世界が嫌い。ここにいたくない」

「この世界が嫌だというなら俺が連れ出してやる。俺と一緒に行こう」

 行こうとは?







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