仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
キョトンと首を傾げる美月に涼が微笑んだ。
「俺さ、日本での仕事から海外に拠点を移すつもりでいるんだ。今後はヨーロッパ、特にパリを中心に活動するつもりでいるんだよね。俺は美月も連れて行きたい」
「涼の仕事って……」
「ん?俺はデザイナーをやっている。今、美月が着ているのも俺がデザインしたドレスなんだ」
「えっ……このドレスを涼が?」
マジマジとドレスを見つめていると、涼が右の胸ポケットから小さな箱を取り出した。
「美月、俺は美月さえ側にいれば良い。君が笑顔でいてくれるだけで良い。岡本美月さん俺と結婚して下さい」
涼が持っていた小箱を開くとそこには、ダイヤの指輪輝いていた。
ホテルのホールが水を打ったように静まり返り、美月の答えを皆が待っている。
美月は涼からの求婚に胸がキュッと締め付けられ、嬉しくて涙が溢れ出していた。
もう、答えは決まっている。
「私で良かったら、連れて行って下さい」
今までの惨劇がウソのように、ホールに拍手と歓声が上がった。
それを両親と智咲も見ていたようだったが、気づいた時にはホールから姿を消していた。
ホールがお祝いムードになる中で、誰かが私に抱きついてきた。
「やったー!岡本先輩がお義姉さんになるの。涼兄でかした!褒めて使わす!」
そう言いながら私に抱きついているのは……涼の妹さん?
(こうなったのには訳があるのだが、それは番外編でね。)
「おい、萌衣。今は俺が美月を抱きしめる所だろうが」
「ごっめーん」
悪気が無さそうに謝るのは涼の妹の萌衣(めい)。
溜め息を付きながら萌衣をゆるした涼が、美月に向かって両手を広げた。
「美月」
名前を呼ばれた美月は、涼の広げる腕の中に飛び込んだ。
そこで更にホールに歓声が沸き上がったのだった。