仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

 美月はアパートへの帰り道、一週間の間に頭を冷やそうと考えていた。もう大和さんの側にいてはいけない。それにはどうすれば良いか……。色々と考えを巡らせていると、カバンの中のスマホが鳴った。一体こんな時に誰だろうと思っていると、そこには母の文字があった。母からすぐに帰ってこいというメッセージがあり、その足で実家へと向かう。実家に付くと、怒り散らす父と、泣き崩れる母が待っていた。

 どこで情報を知ったのか、大和さんの奥さんが私の実家を調べ、電話を掛けてきたのだという。全てを聞いた父と母は大和さんの奥さんの元まで行き、頭を下げてきたのだと……。

「お前はとんでもないことをしでかしてくれたな」

 今にも殴りかかってきそうな勢いの父が、低い声でそう言ってくる。それを聞いた母が泣きながら口を開く。

「ああ……何てことを……」

 何てことを……その後に続く言葉は一体何なのだろうか?

 昔は良い子だったのに?

 人様に迷惑を掛けて?

 不倫なんて? 

 そんな言葉が当てはまるのだろうか?

 全ては私だけが悪いような言い方だが、不倫は一人では出来ない。相手がいるのだ。








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