仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
呆ける美月の腰に腕を回したまま男性が奥へと進んでいく。そんな二人の前に、スーツではなくウエイトレスの格好をした男性がやって来た。
「あれ?涼さん帰ったんじゃ……忘れ物ですか?」
「いや……客連れてきたから奥使うよ」
「あっ、はい。大丈夫ですけど……何か食べる物などは用意しますか?」
「ああ、そうだな。いつもの酒と何かつまめる物を用意してくれ」
「わかりました」
涼(りょう)と呼ばれた男性について行き、奥にある革張りの高そうなソファーに美月は腰を下ろした。ここからは先ほど通ってきたきらびやかな空間を見ることは出来ないが、落ち着いて話が出来るようになっていた。
そこに先ほどのウエイトレスの格好をした男性が、お酒とフルーツの盛り合わせを持ってやって来た。
「ありがとう。ここはもう良いから……充(みつる)分かるよね?」
涼がウエイトレスの格好の男性(充)にそう言うと、「ヒッ」と言う声を上げ背筋を伸ばし逃げるようにその場を離れていった。