仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

 ボーッとしながら寝返りを打とうとすると、自分の体が動かないことに気づいた。

 何……?

 金縛り?

 初めての出来事に、美月の体からサッと血の気が引く。恐ろしさから体を硬直させ回りを見渡すと、自分がまったく知らない場所で寝ていることに気づいた。

 ここどこ?

 どうしてここに?

 困惑し狼狽えながらも、美月は昨日の最後の記憶をたどってみる。

 確かホストクラブに行って、涼とか言うホストの男性とお酒を飲んで……。

 それから……記憶が無い……。

 あの後自分が何をしたのか、何を言ったのか、全く思い出せず、焦る美月の耳元に男性の声が聞こえてきた。

「うん……美月起きたの?」

 寝起きの少しかすれたような声……。男性なのにやけに色っぽいと思うような声が後方から聞こえてきた。そんな声に名前を呼ばれ美月の心臓が忙しなく動く。

 何……。

 名前呼ばれた。

 驚き反射で後ろに振り返ろうとしたが、自分が男性に後ろから包み込まれるような形で、抱きしめられていることに気づいた。この状況では男性の顔も確認出来ない。しかし、相手から敵意などの悪感情は感じられない。そのことにホッと胸を撫で下ろすも、今の状況に混乱を隠せない。

 どうしてこんな状況に……。




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