仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
格好いい表情を見せたかと思えば、可愛い表情を見せる。こんな人がどうして私なんかと関わろうとするのだろう。それがとても不思議だった。
それから涼に連れてこられたのは、私のよく知る場所だった。
ここは、私のマンション……。
「はい。美月着いたよ」
そう言って涼が車から降りる。美月は車から降り、送ってくれたことにお礼を言う。
「あの……送っていただいて、ありがとうございまし……」
ここでさようならだと思い、別れの挨拶をしようとした美月だったが、涼が美月の背中を押した。
「さあ、行こう」
流れるような動きで、美月の別れの挨拶が終わる前に動き出す涼。気づくと美月の部屋の前に立っていた。
「あの……笹原さん。どうして私のマンション知っているんですか?」
「そんなの、美月に教えてもらったからに決まっているでしょ。ほら、中に入ろう」
そう言われ、美月はカギを使って扉を開いた。
「おじゃまします」
そう言って涼が部屋の中に入って行く。この部屋に引っ越してから他人を入れるのは初めてのことだった。
「わー。綺麗にしているね。いつもこんな感じ?」
「ええ……まあ……」
「じゃあ、早速始めようか」
?
「何をですか?」
「引っ越しの準備」
「……は?」
引っ越しって……一体何の冗談なのか。
「もうすぐ引っ越し業者も来る頃だよ」
「へ……?」
すると、タイミング良くインターホンが鳴った。